僕は五体不満足のお医者さん

読者へのメッセージ
ドクター・リー、コリアン スーパーマンドクター・リー。
いつからか同僚達は僕をそんな風に呼び始めた。ボルティモア ジョンズ・ホプキンズ病院ロビーでスーパーマンドクターをお探しなら、案内係が僕の働くリハビリ医学科病棟に案内してくれるでしょう。
僕を今ここにいさせてくれる三つの要因を選ぶならば、それは、夢と目標、そして愛だった。祖国と両親に対する愛が僕をして金メダルの夢を抱かせてくれたし、何をするにしても祖国を代表したい、最高の韓国人になって韓国の名を世界に轟かしたいという目標を持つようになった。
愛が無かったとしたら夢があるはずも無かった。夢が無かったら目標もあるはずが無かった。全ての夢には代価が伴うものだ。痛み、失敗、挫折、憤怒、絶望…。こんな全ての代価を払った上に夢は叶えられるものだ。
僕は、夢を叶えるために四肢麻痺の障害者になり、莫大な代価を払ったけれど、むしろそうなった自分自身の運命に感謝する。代価を払うことが怖くて夢に向かって挑戦すらしない人生よりは、車椅子の上で暮らす人生だとしても、いつも夢と目標を胸に抱いて生きる人生のほうがずっと幸せだからだ。
まだ、僕の目標は全て果たされたわけではない。まだ、祖国のため、両親のためにやらなければならないことがあまりにも沢山残っている。
僕は一生懸命車椅子の車輪をこぐだろう。手のひらいっぱいに硬いまめができて石みたいにかちかちになる時まで。
僕の人生が僕一人のものではないことを今日ほどはっきりと感じたことは無かった。
2005年夏 ボルティモアにて
スーパーマンドクター イ・スンボク
翻訳者 鶴見ユミ (アスペクト出版)